失敗のすゝめ
え〜、2016年しょっぱなの記事なのにちょっと後ろ向きな感じのするタイトルですが、然にあらず。
要は「どうすれば模型が上手くなるか」という話でして。
昨年のことですが、お世話になっているお客さんが「模型は失敗すれば上手くなる」というお話をされていました。この方は車・バイクからガンダムなどのロボット系キャラクター、映画のクリーチャー、果ては美少女フィギュアまで、かなり広範囲のジャンルの模型をハイレベルに作り上げるベテランモデラーさんなのです。
そんなベテランさんでも失敗してしまう。そう聞くと、模型初心者さんやまだ作ったことがない人は「模型って難しいんだ」と尻込みしてしまうかもしれません。
しかし、もう一度この方の言葉を読み直していただきたいのです。
失敗すれば『上手くなる』、です。
失敗するなとか失敗は怖いとおっしゃってるのではないのです。むしろ、上手くなりたければ『失敗しろ』とおっしゃってるのです。
丁寧に作るなら、模型は結構な工程を必要とします。
コツコツ地道な作業を積み重ね、徐々に完成に近づいていたところで大失敗。
これはヘコみます。
「オレのアホー!」と叫んで、やおら裏庭に100mの穴を掘り埋めてしまいたくなるほど、もうそのキットを見るのもイヤになってしまいます。
それまでの積み重ねが全て水泡に帰した、そんな無常観に支配されることでしょう。
しかし、決して無駄になった訳ではないのです。そこまでの労力・努力を費やした末に起こしてしまった失敗で、実は非常に大切なことを学んでいるのです。「こうすると上手くいかない」という非常に貴重なことを学んだのです。
そこで投げ出してしまえばそれこそなにもかも無駄になってしまいますが、失敗を踏まえ再度取り組むことで次の段階に進めるのです。
失敗というとなかなかいいイメージは持てませんが、ネガティブな要素は主に感情面ぐらいなもので、実際は上達するための重要なステップに他ならないのです!
前述のベテランモデラーさんも、それだけ経験があるのにいまだに失敗されるというのは、同じ物を作り続けるのではなく、常に新たな技術、新たなジャンルに挑んでいらっしゃるからであり、その姿勢が多様なジャンルで高い完成度の作品を生み出せる技術として結実しているのです。
幸い、模型はたいていの失敗はリカバリーすることができます。もうどうしようもない、ということはほとんどありません。
ぜひ失敗を恐れず、というよりもう「失敗してやるぞ、こんちきしょー!」ぐらいの勢いで、どんどん手を動かして作っていただきたいと願っておる今日この頃でございます。
失敗もひっくるめて、模型は楽しいですよ!